幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『新約思想の構造』八木誠一 岩波書店
パウロヨハネの神学を理解するための一助となる。 もっとも第三章記号化の章は、上っ面を追いかけただけなんだけどね。興味本位で聖書を読んでいるだけなんで、その程度で許してもらおう。親鸞との共通点は、明確に言ってる。
記号化により、新約聖書思想の基礎語は「神、人、世界」の三つであり、キリストと聖霊はそこから導かれるとすれば、キリスト、聖霊を持たない他の宗教(ユダヤ教イスラム教)との対話は可能である、とする。そしてそれはキリスト教の普遍性(唯一絶対性ではなく)を示唆している。「むすび」が著者の明らかにしたかったこと。「むすび」「結語」を再読、再々読しながら、あとは新約聖書を読めば著者の聖書理解を、理解することが出来るだろう。「信仰」という点から言えば、ある種の経験を経て(はじめて)(イエスの復活を)信じることが出来るようになる、とは言えるだろう。いきなり「イエスの復活」を信じなさい、と言われても、古代のギリシャ人も「バカか」と言ったわけでね。もっとも、それさえ信じればあなたは救われる、というのもまた魅力的と言えるのではあるのだが。
シナン(上・下)』夢枕獏 中公文庫
先に読んだ『わたしの名は赤』の少し前(数十年)の時代、スレイマン一世、オスマン帝国が最盛期を迎えたころの建築家シナンの物語。これはやっぱり彼の建築物を見に行かなきゃいけないだろう。モスク、水道橋など。