幽栖録

極私的備忘録

 その後読んだ本

新約聖書を美術で読む』秦剛平 青土社
「はじめに」は、クリスチャンにとってはなかなか強烈であろう。
だが、クリスチャンというのは、佐藤優の言うように非常に幅の広いものなんだろうと思う。イエス(キリスト)を救い主と信じるものは、すべてクリスチャンと呼んで良いというような意味のことを佐藤優は言っている。ここで「救い」というのは、結局、生きつづけようという意志を力づけてくれること、というのが、とりあえずの私の理解だが、どうだろうか。
エスという人物が、実際のところ神の顕現であったのか、本当に復活したのか、私はわからない。しかし、彼がどのような考え方で、それをどのように実践したのかということは、考えてみる、あるいは知る価値があると思うし、また、私自身が、今、このような場で、イエスであればどのように行動しただろうか、と考えることは意味のあることだと思う。

物語論で読む村上春樹宮崎駿大塚英志 角川oneテーマ21
大塚英志お得意の物語論分析である。村上春樹は、私にはまったく興味が無いので、というかそもそも小説というか文学といわれるものにまったく興味が無いのだが、なぜこれを読もうと思ったかというと、しかし大塚英志による「物語の構造」分析はけっこう面白いと思っているからなんだな。で、面白いんだが、なるほど、だからそれで?、という感じは否めない。村上春樹の小説って、結局は芸、というか技術というか、要するに文章(を作る言葉の選び方)だとか文体だとかいうところにあるんじゃなかろうか。少し前に読んだ「落語論」を思い出したが、要するに、構造としては、どこにでもある、いつか聞いたような話でも、読ませる、という芸ね。もっとも、そんなのは「文学」ではなくて「大衆文芸」じゃないか、ということは言えるのかな。しかし、いまだに「文学」なんてのを論じようとしているのは、大江健三郎以外に誰か居るのか?(これが、居るから、大塚英志がイラついているんだ、ということかしらん)
大塚英志は何にイラついているのか、あるいはだれに対してこの本を書いたのか、というのはちょっと整理してみる必要はあるのだが、、、。

by niconico