幽栖録

極私的備忘録

 ウィトゲンシュタインから龍樹へ 私説「中論」 黒崎宏 哲学書房

龍樹という名前をこの本を知るまで知らなかった。中村元の文庫本などは何冊か読んでいたのだが、仏教思想には余り魅力を感じなくてそれ以上深入りしていなかったな。ウィトゲンシュタインは、もう何十年も前に「論理哲学論考」を読んで「なるほどね」と思ってそのままだった。今回、これを読んでちょっと「哲学探求」を読んでみようかという気になった。
実体なるものは存在せず「一切は空である」
「空」とは何か。それは「縁起によって存在している」ということである。
「縁起」とは何か。それは「意味的諸関係」ということである。
大乗仏教の根本思想は「一切は意味的諸関係によって存在している」ということである。

AはBである。と言う時、Aという実体、Bという実体があるわけではない。AはBである、という言葉によって表される「関係」だけが(実体として)あるのである。