幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『日銀を知れば経済がわかる』池上彰 平凡社新書
大変わかりやすい。わかりやすいので、この本を読む前から知っていたような気になるのだが、しかしおぼろにそうなんだろうな、と思っているのと、知っているのとではもちろんぜんぜん違う。
『これからの「正義」の話をしよう』マイケル・サンデル 早川書房
功利主義からカントの人間の尊厳などについて諄々と説きながら、著者は共同体主義の前2者に対する優越を説くのだが。 日本でクニと言えば、それは自分の属する藩だった時代(脱藩は犯罪)から現在への変化を思うと、著者がいろいろと例としてあげるいくつかのものはあまり意味を持っていないような気がする。 結局、最後に残るのは「家族」と「(自分が)直接顔を合わせているいる人たち」だけかな。
もう一つ「正義」と「善」の位置関係が、ちょっと微妙で、まあだからこそ著者は共同体主義を持ち出すのだが、、、。
日本では、少し前まで「会社」が、一つの共同体であったことは間違いない。しかし、今はそれが揺らいでしまった。
ある地域では、村、町内会、が共同体として機能していたけれども、それも今の日本ではすでに機能していない(と言い切ってよいか?)。
共同体の正義、と「世間様」「空気」の違いは?
岸信介』原彬久 岩波新書
これを読むと、鳩山由紀夫が、いかに甘ちゃんで坊ちゃんだであるかが良くわかる。理念、理念と言いながら、いざその理念を実行できる立場になったときには、「周りがいろいろと言ってくるもんで『実行できなかった』」と、平気で言う男だ。 安保条約改定のために、岸は、米駐日大使と7回直接面談し、当時の日本の反米感情について彼自身の分析を加えながら、このまま米が態度を変えなければ、日本は共産勢力が優勢となってしまうか、よくて中立化だ、と言って米を脅すんだな。米駐日大使は本国へ、安保改定やむなしとの方向で打電する。鳩山って、ちょっとググッて見てみると、米駐日大使といっしょにフットボールかなんかみて、同窓生だから、とかなんとか言ってるだけなんだな。あとは何も米側に発信していないものだから駐日大使のほうが心配になって、官房長官とかに面会を求めてくる。で、官房長官は、まだまだ首相の出る幕ではありません、私にお任せください、とか何とか言いながらかえって泥沼に持ち込んじゃう、というまあ馬鹿げた話である。まあ、実際はどうだったのか知りませんが、その程度の想像しか出来ないな。