幽栖録

極私的備忘録

 はじめての部落問題 角岡伸彦 文春新書

これは良い本だった。部落差別というのは、直接に経験の無いものにとっては実にわかりにくい、というか「不思議な問題である」。私は、無かったことにしちゃえばそれで自然と消えてゆくのでは?とまじめに思っていたのだが、もちろんそれは誤りである。現在の差別の実質というのは、結婚と就職の場であらわれてくるらしいことがわかる。そして、私の心の中にも「違い幻想」と「差別されることへの恐怖」というのは確かに存在する。第六章 部落差別のなくし方、は部落出身者の立場から書かれているが、それはもちろんこの本を読んで「関係者」となってしまった読者(私)に対する、ではあなた(私)はどう行動するのか?という問いかけでもある。