幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

大川周明大塚健洋 中公新書
「真の国際人とは、他国のよきものを理解できるだけではなく、自国のよきものを体得し、それを誇りを持って説明しうる人間のことを言うのではないだろうか。」これはまったく正しい。だが、その「自国のよきもの」を、結局のところ歴史的事実としては意味の無い「世界に比類なき皇統の連綿」に求めたところが決定的誤り。もう一つ、「国家は普遍的概念ではない」(佐藤優 下)を頭に入れておかなければならない。
テロリズムの罠』 右巻・左巻 佐藤優 角川oneテーマ21
もちろん「労働」が無ければ「価値」は生まれない。だからと言って、「労働」=「価値」ではない。利潤の源泉は「労働力」ではない。「価値」を生み出すものは、もちろん「アイデア」であり、それが利潤の源泉となる。「労働力」をどのように使うか、という「アイデア」が重要なはずなんだが、現下の経営者はこの「アイデア」が無い。彼らが「国際競争力云々」と言うとき、その競争相手は、中国でありベトナムである。
「疎外」とか「上部構造」「下部構造」なんていう単語が出てきた時点で、しょせんペテンの理屈でしょ、とか思い始めちゃうんだな。労働の本来の状態=他社への奉仕、というのもまあ一部の人々にとっての希望的理想論なんだろう。こういうと、それこそ「疎外」なんだ、と言われちゃうわけなんだな。労働の本来の状態=自己満足と私は思うが、もちろんその前提として、人は、結局のところ他者との関係の中でしか生きられないという自覚が無いとただのエゴイストになってしまう。