幽栖録

極私的備忘録

 心は転がる石のように 四方田犬彦 ランダムハウス講談社

少し前に僕も記事を読んだ、中学生の時から放浪生活をはじめ40数年後に発見(逮捕)された男の話題の中で、こんな表現をしている。「日本もまんざら捨てたもんじゃないなあと、わたしは思った。何も知らなかった中学生が、ちゃんと兎や猪を捕らえて生きていけるだけの環境が備わっているのだから。わたしにはもちろんそんな勇気も才能もない。だが、この男を心の底のどこかで憧れている自分があることを、否定する気持ちはない。」
私が四方田犬彦のファンなのは、こういう感覚に共感する部分があるからだろうな。ちょっと嫌味なやつだなと思いつつも。ただ、今まで僕の印象では時事的な問題に微妙に距離をおいてきた四方田が、この中では割と自分の立場を明確にしているな、という感を持つ。
「ハイスクール1968」を、本棚から取り出して拾い読みしていた。良いね。