幽栖録

極私的備忘録

その後、読んだ本

『国家はなぜ衰退するのか(上・下)』 アセモグル&ロビンソン ハヤカワ・ノンフィクション文庫
英国で産業革命がおこったのは必然だった。しかし、英国が産業革命を起こすような(政治体制を持った)国家となったのは偶然だった。産業革命以後については、政治制度が経済発展を左右してきたという指摘は(ある程度)納得できる。マ中南米の文明が、スペイン人に「発見」されたとき、彼らの武器はいまだにこん棒、投石器と投げ槍が主だったのに対して、スペイン人は銃、大砲を持っていたこと、馬を持っていたことなどは政治制度では説明できないだろう。これらのことについては、ジャレ・ド・ダイアモンドの地理的要因の方が説得力を感じる。大きな流れとして、一度は世界を席巻した大国が衰退してゆくのは、既得権益を持つものが既存の体制に固執することで、周辺国で起こっている新しい変化を取り込めずに、徐々に(その国内での)経済活動が不活性になってゆくということに尽きるのでは。





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