幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『日本農業の真実』生源寺眞一 ちくま新書
日本の農業の現状と問題点を非常にわかりやすく解説していて良い。著者が、兼業農家を含めた農業を営んでいる人たちの共同体を大事に考えている点、重要であり共感する。
『緑の家』上・下 バルガス=リョサ 岩波文庫
時間と空間が最後まで複雑に錯綜しながら物語が語られ、独特の緊張感を生み出すとともに、登場人物のそれぞれの生に、ある種の感動を覚える。「全体小説」という言葉をはじめて知ったな、恥ずかしながら。
イスタンブールの群狼』ジェイソン・グッドウィン ハヤカワ・ミステリ文庫
著者は歴史家なのかな。19世紀のオスマントルコイスタンブールを舞台としたミステリ風エンタテインメント。
『イブン=ハルドゥーン』森本公誠 講談社学術文庫
14世紀のイスラム世界に登場した歴史家というか思想家というかあるいは政治家だったとも言えるのかな、イブン=ハルドゥーンの伝記、思想紹介、主著『歴史序説』の抄訳。1300年代後半(室町時代)に書かれているというのが面白い。現代のイスラム思想というのが紹介されないのは、(原理主義だけが跋扈して)低迷しているからなのか、それとも逆に百家争鳴状態になっているからなんだろうか。(私が知らないだけか?)