幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『成熟日本への進路』波頭亮 ちくま新書
成熟社会、となった日本のとるべき施策についての提言。具体的なようでいて、そうでもないところもあるな。しかし、こういう方向に日本は進めるのだろうか。 今回の参院選の様子を見ても、増税を提案する際には、グランドデザインをほぼ完成させてからではないと国民を説得できないだろう。 そのためには、最初に増税ありき、ではなく、何をしたいのか、何をやるべきなのか、そのためには何が必要となるのか、という順で話を進めなければならない。
紅衛兵の時代』張承志 岩波新書
好きだなぁ。こういう美しい青春の書。著者は「紅衛兵」という語の生みの親だ。彼が壁新聞に記事を書いたときの筆名が、その後の運動を担うグループの名前として使われた。「文化大革命」というのは要するに、当時、実質的には政治権力を失っていた(しかし、一般民衆あるいは若い世代には革命家としてカリスマであり、中国共産党も公式には彼を批判できなかった)毛沢東が、実質的権力を取り戻すために仕掛けた権力闘争ということなんだが、その先兵とされている「紅衛兵」たちには、そのような政治的権力闘争とは無縁の、革命という理想に対する思い入れがあった、というのが著者の主張だな。しかし、その後の運動は、、、。 「はじめに」で書かれている「俗に媚びる」についても泣かせる。
「過ぎ去った出来事から私が学んだのは、わずか十七、八歳の若者たちも歴史を創り出しうる、ということだった。そのなかから、若い世代が教訓と栄養を吸収し、熱情と誠実さを備え、行動を恐れぬ人々になって欲しいと思う。」