幽栖録

極私的備忘録

 その後読んだ本

『ロックで独立する方法』忌野清志郎 太田出版
このインタビューをした山崎浩一が書いたイントロダクションの最後に、彼の慙愧の念を吐露した文があってはじめて気がついたのだが、これは09年5月2日後にあわてて(まとめられて?)出版されたんだな。奥付を見ずに、パラパラめくって内容をチラッと見ただけで買ってたんで気がついていなかった。もともとはしかし2000年から2002年にわたってすでに雑誌に連載されているので、清志郎もまあ、お前もいいかげんなやつだなぁ、と笑っているか。
読むとあらためて思うけど、清志郎自身もそうとういいかげんというか、なんか無茶苦茶なやつだったな。タイマーズの話なんか実に良い。
君が代」事件も、私の記憶ではこのインタビューの直前辺りにあったんじゃないかと思うが、筑紫哲也田原総一郎あたりのインタビューに対しては痛烈で、対して海外メディアのインタビューに対しては「質がもう全然違ってた」と言っている。これは、海外メディアのインタビューが、彼の音楽、そのものに対する問を出してきたからなんだな。まあ、ともかく彼にはもっとこれからもいろんなことをやって欲しかったと思うけれども、こればっかりはしょうがない。

『落語論』堀井憲一郎 講談社現代新書
落語に興味がある人、これから見てみようと思っている人には意味の無い本かな。先ず、寄席に行くべきでしょう。私にはあまり必要なかったな。喬太郎とか白鳥とかの名前を見つけて安心する?みたいな?川柳川柳をひさしぶりに見たくなっちゃったな。池袋演芸場にもしばらく行ってないし。まあ、ともかくこの本の最初の一行にあるように、落語は「ライブとしてのみ存在する」し、本の最後から三行目にあるように「落語なんてライブで聞けばいいんだ」ということだ。12月から暇になるんで、弁当持って(著者は持ち込まない方が良い、と言ってますが)池袋演芸場だな。

『乗っ取られた聖書』秦剛平 京都大学学術出版会
もともとはユダヤ人が、ギリシャ人に読んでほしくてギリシャ語に訳した(旧約)聖書が、イエス出現以後、(ユダヤ人や、それ以外の人々=パウロなどが)その思想をギリシャ世界に広める際の前提となった、ということ。新約聖書に引用されている旧約部分は70人訳。で、その訳は、きちんと整理されたものではなくて、まあ何人かのボランティアが、彼らがそのとき持っていたテキストを元に行った。そのテキストも、一つに確定されたものではなかっただろう。という話。

『この金融政策が日本経済を救う』高橋洋一 光文社新書
この著者は今、どうなってるのかな。非常にわかりやすい日銀批判である。しかし、だからといってそれが正しいあるいは有効な対処法なのかどうかは、判断できかねちゃうんだなあ。

『無差別殺人の精神分析』片田珠美 新潮選書
まあ、なんとなく、そうなんだろうなぁ、と思っていることをきちんとまとめてくれた本、と言えるかな。

by niconico