幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

終戦日記』大佛次郎 文春文庫
昭和19年9月10日から昭和20年10月10日まで、淡々と(と言ってよいと思う)書かれている。著者は10月が誕生日で満47歳になる直前から満48歳になるまでの一年余。自分は何をしていたか、ちょっと記録を探してしまった。まあ働き盛りというところか。もちろん「解説」にもある通り、今とは少し年齢の感覚が違う。まだ人生50年と言われていたし、またいつ死んでもおかしくないような時代だったことも確かで、著者もそれを自覚している。それを自覚しながら、なお淡々と、勉強すべきこと、仕事のことなど。けっこう酒を飲んでいるし良いものを食べているのは、(もちろん、良いものを食べたから記録にしたのだとはしても)恵まれた立場だったからだろう。歴史の流れに身をまかせながらも、しかしその流れがどのような、どこに向かっている流れなのかを知っていたい。