幽栖録

極私的備忘録

 その後読んだ本

『低線量放射線を超えて』宇野賀津子 小学館101新書
良い本で参考になるんだが、専門的な話はわかりやすい文章なのに、そうでないところは下手だな。もうひとつ原発止めるべきでないと言っている箇所は、完全なイデオロギーで、これがあるおかげでだいぶ損をしているのではないか、というのが私の印象。たぶん担当編集者が能力不足。
放射能問題に立ち向かう哲学』一ノ瀬正樹 筑摩選書
上の本を読んだときに感じた漠然とした物足りなさ(不満?)にかなり答えてくれた、という感じ。注意深くイデオロギーを排し、丁寧に議論していて良い。
 「直線しきい値なし仮説(LNT仮説)」が示す線形的関係「どんなわずかな被爆でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊するという現象は起こる」(小出浩章)が事実であるとしても、人体はあるレベルまではそのような破壊を修復する能力を持っており、その点で、被爆=がんの発生、とは言えない、というのがとりあえずの私の立場。で、現在の福島〜東京の放射線レベルは、そこで被爆したとしても、がんの発生を心配するよりも、その心配からくるストレスのほうが体に悪影響を与える可能性のほうが高い、要するに心配をしないでストレス発散、健康的な生活を心がける事が大事。もちろん、被爆しないに越したことはないのであるが。