幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド 草思社文庫
なるほど、これは面白かった。東西方向への知識・技術の伝播と南北方向への伝播の違い。大陸による、動植物の生態の違い=栽培可能な穀物、家畜化可能な動物の存在の違い、などなど、言われてみれば「なるほど」という話。 中国とイスラム世界がなぜ西欧世界に逆転されてしまったのかについて、中国については若干触れているんだが、イスラム世界については触れていない。イスラム世界も、結局はオスマントルコ帝国という大帝国が成立し、しかもそれが数百年にわたって一応安定してしまった(そして実質的な鎖国状態?)のが要因といえるのだろうか? それでも数百年もったからな。今の日本が、国土の広さこそ全く桁違いとはいえ、経済規模から考えれば、その大きさと(国内の)既得権益に満足してしまって、15世紀の中国、イスラム帝国と同じような道を進みつつあるのではないか、という心配は杞憂だろうか。 まあ、それでもあと数十年はもつのかな?
現在、読みつつある本
『新訳思想の構造』八木誠一 岩波書店
だいぶ前に買って、そのまま積読状態になっていたのを今回もってきて読み始めたんだが、これは面白いし、わかりやすい(今のところ)。最初に出てくる個人的体験というのが、ちょっと微笑ましいというか、で、その後の話題=仏教と言語批判というのが、まさに私のツボにはまったか。今回もってきたもう一つの積読本が『「哲学的探求」読解』ウィトゲンシュタイン、黒崎宏、でまさに言語批判で、何故この本かといえば、それはここ何年かの、『竜樹とウィトゲンシュタイン』(というタイトルだったか?)といったいくつかの黒崎宏による仏教哲学と後期ウィトゲンシュタインとの関連を扱った著作つながりなんだな。この『竜樹と、、』で、初めて仏教哲学というのが少し理解できた(というかわかった気になれた)。もうひとつ、パウロ親鸞について云々というのを呉智栄の本のmemoに書いたけど、八木誠一が一冊本を書いていた。日本の新約聖書学って、一般人にはちょっとどうなっているのかわかりにくいな、荒井献、田川健三、その他いろいろ、皆、一応クリスチャンなんだけどね。