幽栖録

極私的備忘録

 こちらで読んだ本

北一輝」 渡辺京二 ちくま学芸文庫
日本の近代化の不思議な、というか奇妙な性格というか、そういったものがテーマの一つとなっているという点で、先の宮崎学の本と共通するところがある。そして日本の現状は、いまだにその奇妙な性格を持った近代化の影がつきまとっていると思えるのだが。非常に内向きな社会でありながら、その中に対外膨張主義が同居している。
「水戦争」 柴田明夫 角川SSC新書
“水不足”というと、単純に飲料水の不足、と考えがちだが、もっとも水を消費しているのは農業である。で、その農業は、人間の口に入る食物だけではなく、というか最も多く消費される農業作物は家畜の飼料である。1キログラムの小麦を生産するには1〜2トンの水が必要となる。肉類は、家畜の飲み水、洗浄水の他に、その飼料のために大量の水が必要となるため、牛肉1キロ生産するためにはその2万倍の20トンの水が消費されている計算となる。  ということは、水不足になって先ず困るのは欧米の肉食人種で、日本人は鯨肉を食べるから大丈夫、ということになるのか?! 
ついでに考えるのだが、海水淡水化、というのは結局、かなりのエネルギーを使って水を造るということなんだが、これで造った水で農業用水(=肉類を含めた食糧生産)をまかなうということが技術的・経済的に可能になるということがありうるのだろうか。