幽栖録

極私的備忘録

 武装解除 −紛争屋が見た世界− 伊勢崎賢治 講談社現代新書

これは面白い。実際に紛争が起こった現場で、その紛争解決=武装解除の実務を担った経験からの平和論である。いろいろと、なるほどと思わせる記述がある。例えば、このような紛争の収拾にかかわっている時期には、小学校建設よりも刑務所の建設のほうが大事である、というようなのは、とりあえず停戦協定が締結されればそれで平和が来たかのような報道だけ見ていると、言われなければ気がつかない。
参考http://shop.kodansha.jp/bc/books/hon/0501/isezaki.html
伊勢崎賢治からのメッセージ〜「『武装解除』出版にあたって」
「この本は、東チモールシエラレオネアフガニスタンと続いた私の紛争処理顛末記である。「平和の希求」というものが、もはや人類共通の美徳ではなく、「誰にとっての平和が地球上で優先されるべきか」というポリティックスであること。そして、平和の希求を見せかける者が、紛争の当事者でもあり得る状況の中で、紛争処理に関わる要員に求められる行動原理がいかに脆弱なものであるか。更に、“日本軍”を対岸の紛争処理に参加させた日本の政治意思が、いかに軍事オンチなものであるか、実例を元に訴えたつもりである」http://www.jccp.gr.jp/mailmag/backnumber/j_009.htm

今朝の「朝日(オピニオンページ)」に、国際協力の話題でJICAが仏外人部隊OBの日本人と契約してチャド(アフリカ)に事務所を開いた話が出ていた。これも面白い動きだ。