幽栖録

極私的備忘録

その後、読んだ本

ホモ・エコノミクス -「利己的人間」の思想史』面田園江 ちくま新書

なんでも経済効率で説明・解決しようとする風潮に対して、その前提となっているホモ・エコノミクスの経済学が生まれてくる過程について述べている。「経済学」があまりに個人を単純化しているという批判は、経済学の誕生時からあったのね。この著者の問題点は、あとがきに書かれている、「、、、金持ちは悪いことをしていると考えて当然ではないのか。本人の自覚のあるなしに関わらず、富者は貧者の犠牲の上に富を得ているというのは開闢以来の真理だ」(下線太字強調引用者)という、ちょっとびっくりするくらいの大時代的な決めつけだな。まぁ、こういうことを大真面目に(?)いう人が出てくるぐらいに格差が広がってきている、ととらえることもできるかな。(「人新世の資本論」が50万部近く売れているらしいというのも同様)

もうひとつ、この著者の文体というか文章の書き方がね、私がもう少し(いや、もっとだいぶ)若ければ多分面白いと思って読むんだろうな。そう思うには少し歳を取ってしまって、むしろちょっと品がないという風に思ってしまうんだな、個人的な感想としては。