幽栖録

極私的備忘録

 『ニュー・シネマ・パラダイス』(123分版)

監督・脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
前半というか(トトの幼少期を描いた)初めの50分くらいはだいたい記憶にあった。これ、日本だと昭和20年代の映画が最も人々の娯楽として盛んだった時代を知っている人が見たら、私が冗長だと感じたような場面も、懐かしく思うのだろうな。そんな場面がいっぱい挟まれていて、それはまた映画そのものだけではなく、当時の人々の最大の娯楽の場だった映画館への愛情表現でもあるのだろう。そしてその映画館が壊される場面。それを見ている村の年寄りたち。時代は過ぎ去ってゆく、ところどころに大きな節目を残しながら。 そしてもう一つのテーマがアルフレードのトトへのメッセージかな。「帰って来るな。」「トトには(自分の死を)教えるな」「ノスタルジーに惑わされるな」とアルフレードいわせながら、この映画はまさにノスタルジーそのものなんだ。美しい。