幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『日本人の戦争』ドナルド・キーン 文春文庫
先に山田風太郎の『戦中は不戦日記』を読んだときに、他の作家の日記も読んでみたいものだと思っていたら、ドナルド・キーンが戦争前後の作家の日記を引用しながら書いているこれを見つけたので読んだ。彼の関心は当時の日本人の戦争観のようなものに興味があるので、引用もそういった視点からされている。私が山田風太郎の日記を面白いと思ったのは当時の世相がなんとなくわかるからなんだな。緒戦は元気いっぱいな国民も昭和19年ごろになるとかなり厭戦気分が漂ってくるとか、山田が仕事をしていた昭和18年にはすでに物資不足で戦闘機に搭載する無線の製造も遅れ気味だったとか。今読見始めた『戦後の貧民』塩見鮮一郎(文春新書)にも作家(高見順山田風太郎)の日記が引用されているが、それはもっぱら戦後の闇市などの風景を描写したところで、こんなのはドナルド・キーンの本では触れられていない。やはり、元を読まないとだめだな。高見順が面白そうである。
『日本人はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』矢部宏治 集英社インターナショナル
丸山真男的な日本人無責任論の一つかと思っていたら、どこかで誰かがちょっと違うようなことを言っていたので読んでみた。全然違った。日本の法体系の問題とか非常に面白い。基地と原発については法判断ができないようになっている様子がよくわかる。いやはや。


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