幽栖録

極私的備忘録

 国家の罠 佐藤優 新潮社

「外務省のラスプーチンと呼ばれて」と副題がついている。これは、いろいろな意味で勉強になる本だ。
著者の書いていることが事実だとすると、アフガン復興会議でのNGO出席問題では鈴木宗男が外務省にはめられた、ということになるのだろうか。それとも外務省の担当者が、鈴木宗男の名前を出して自らの責任を回避するような説明を当該NGOにしたということなのだろうか。
今となってみると、著者が言うとおり日本の外交は「親米主義」一辺倒になってしまったように見える。中国・ロシアともうまく立ち回りながら、それぞれの国をけん制しつつ日本の国益を追求する道ではなく、新米べったりこそが日本の生きる道という方針。
自分が仕事をするとき、それを第三者の立場にある同分野の専門家に見られて、恥ずかしいものではない仕上がりにする、というのは、私自身もそのように心がけているということもあり(というか仕事におけるプライドというか自信というのは結局そこにしかないような気もするし)全面的に共感する。
この件で一番かわいそうだったのは三井物産の若い社員だったように思う。鈴木宗男に金が渡っただろうという見込み捜査?で相当に厳しくやられたのではないかと思われる。