幽栖録

極私的備忘録

 日本の女優 四方田犬彦 岩波書店

タイトルだけを見ると、日本の女優名鑑のようである。もちろんそうではなくて、近代の日本を体現したとでも言うべき二人の女優、原節子李香蘭山口淑子)についての記述である。二人は同じ年(1920年)に生まれ、同じような時期(1930年代中頃)に映画女優としてデビューした。一見、彼らは全く正反対の印象を与えているのだが、その実、ある共通性をもっている。
李香蘭というのは確かに魅力的な人物である。
ところで、私はこれを読むまで「何日君再来(He Ri Jun Zai Lai ホーリンチュンツァイライ)」という唄を、テレサ・テンの唄だと思っていた。