幽栖録

極私的備忘録

 「機会不平等」 著:斎藤貴男 文春文庫

著者の言っていることは良く分かるのだが、読んでいて30年以上前の「高校全入運動」を思い出していた。「ゆとり教育」のペテン性は明らかとして、ではどのような教育の質が必要なのか?
この書き振りでは「金持ち(恵まれた立場の者)=悪」と言っているように聞こえてしまう。大事なことは、機会の平等をどのように保証するのか、そこでも出てくる弱者の為のセーフティーネットをどのように確保するのか、ということになる。
今日の読売にこんな記事が
「 学力階層ごとに比べると、経済的理由で授業料を減免されている生徒の割合は、最上位校が2・5%で最少。階層順に率が上がり、5位の高校は16・2%と最多だった。授業料の滞納率も同様で、最上位校が0・1%、5位校は4・2%。
 「経済的に苦しい生徒が(比較的)多い」と答えた教員の割合をみると、最上位校は6・9%だったが、5位校は94・7%。調査では「経済的な環境と学力に強い関連がある」と指摘している。」
(強調引用者)
これだけ見ると、階層化はあきらかに進んでいるのだが。しかし、エリート教育をしたとして、やはりそこから落ちこぼれる人間は出てきそうだ。
もう少し整理して考える必要がある。