幽栖録

極私的備忘録

 「ハイスクール1968」四方田犬彦

じつは、四方田犬彦のファンである。ちょっとヤダな。川本三郎は、胸張って嫌いだと言えるんだが。
全くの同世代だ。ただ彼が高校時代にしていたことを私は大学時代になってからしか出来なかった。しかし、この68年から71年の雰囲気と言うのは、当時の文化的、政治的状況(例えば、寺山修司唐十郎、新宿西口のフォーク集会、10.21国際反戦デー、もちろん大学紛争、etc.)を体験したものは懐かしく思い出すだろう。あの時僕は、政治的な活動というものは必ず対外的な責任を伴うものであり、決して自己満足に終わってはならないのだ、という事を知ったのだった。
四方田犬彦自身は、個人的な体験からそれを忘れることが出来なかった。彼ははっきりとは言葉にすることの出来ない閉塞感から自分もまた連合赤軍の一員になっていたのかもしれない、と言うのだが、そこいら辺の感覚がちょっと私にはわからないところだ。(まあ、それが彼の書くものを私にとって面白いものにしているのだろう。)