幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『コールド・コールド・グラウンド』エイドリアン マッキンティ ハヤカワ・ミステリ文庫
1981年、北アイルランドIRAの逮捕者がハンストを決行して10名死んだ時期が物語の舞台。いかにも暗い背景で、またミステリとしてはどうかという出来だが、全体としては独特の緊張感が感じられて良い。
『闘う文豪とナチス・ドイツ - トーマス・マンの亡命日記』池内 紀 中公新書
著者のいかにも品の良い文章。1930年代のドイツにおけるナチズムの浸透というか、反ユダヤ政策の進行の様子がわかる。他者に対する差別的、排他的な言辞にはその都度敏感に反応すべきだな。
『幻影の明治: 名もなき人びとの肖像』渡辺 京二 平凡社ライブラリー
このタイトルはどうなのかね。著者は幻影、幻像、幻景といった言葉が好きなんだな(編集者か?)。著者あとがきにあるとおり三つのパートに分かれていてそれぞれ興味深い。解説(井波律子)は駄文。
『勝負師』坂口安吾 中公文庫
I.将棋編、II.囲碁編となっていて戦後の将棋界、囲碁界の様子がうかがわれて面白い。坂口安吾、まあヒロポンだとかゼドリンだとかをやたらやっていて49まで生きたのなら良しとするか。もっと生きていろいろ書いてほしかったけどね。









.