幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『罪の声』塩田武士 講談社
グリコ森永事件を題材に面白く仕上げたフィクション。脅迫状、全体の事件の動きなどは時系列も含め事実に基づいているようだ。それを軸に、テープに録音された子供の声が自分のものだと気がついたテーラー曽根、年末企画に駆り出された新聞記者、両者が事実を求めて動き出す。利用された子供たちがその後どう生きているのか、事件そのものが「子供を人質に」した事件であり、作者はそれに対して義憤(?)を感じているのだろう。確かに。背景となる過激派(当時の新左翼活動家)に対する見方は、おそらく79年生まれ(70年代)の人たちの感覚というのはこういうものだろうな、と思う。彼らは、確かに馬鹿であった。しかし、私は彼らの言葉「やったる(みたいな?要確認)」にけっこう共鳴してしまうんだな。関連の本をすべて読みたくなった。