幽栖録

極私的備忘録

 その後、読んだ本

『漂流記の魅力』吉村昭 新潮新書
これは面白かった。江戸時代の漂流記の紹介。大黒屋光太夫の後に、同じように漂流してロシアに流れ着いた「若宮丸」という船の乗組員の物語で、かれらは光太夫と同じ船に乗っていて、ロシアに居残った人物とイルクーツクで会っている。当時のロシアは、鎖国をしていた日本と交易をしたがっていて、日本人漂流民をけっこう大事に扱っていた。ロシアに残ることを望んだ日本人は現地の日本語学校で教師として優遇されていたらしい。若宮丸の乗組員は、結局漂流から11年後に(大西洋、太平洋を航海して)ロシア船に乗って長崎に戻って来るんだが、なんともスケールの大きい旅である。

『神に頼って走れ! 自転車爆走日本南下旅日記』高野秀行 集英社文庫
日本縦断というか横断というか、東京から西へなるべくまっすぐ走るというのはどうだろうか、と思う。 中央構造線を走る、というのも面白そうだな。

『男たちは北へ』風間一輝 ハヤカワ文庫
東京から青森までの自転車旅行と自衛隊のクーデター計画を書いた秘密文書の奪還計画をからめた、まあそれだけ聞くと何のことやらわかりませんが、そういう小説。自転車旅行がマゾヒスティックというか、変にヒロイズムというかちょっと僕の趣味とは違ったな。高野秀行のようないい加減な自転車旅行のほうが良いな。小説としてはまあまあ。